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読書の秋に観たい本屋大賞映画12選|Amazonプライムで楽しむ小説原作の名作

日本アカデミー賞

秋の夜、映画を一本観たら、その物語をもう少し深く知りたくなった。そんな経験はありませんか。

10月27日から11月9日までは読書週間です。けれど、いきなり厚い小説を開くのは少しハードルが高いという人もいるでしょう。そんなときは、映画から物語の世界へ入るのも立派な「読書の秋」の始め方です。登場人物の顔や声、舞台の空気を映像でつかんでから原作を読むと、映画では省かれた心情や背景が立ち上がり、同じ物語が別の表情を見せてくれます。

この記事では、全国の書店員が選ぶ本屋大賞の受賞作・ノミネート作を原作とし、2026年9月30日時点でAmazon Prime Videoから視聴できる邦画を12本選びました。追加料金なしの見放題作品を中心に、レンタル・購入で観られる作品も含めています。

静かな人間ドラマ、青春ファンタジー、社会派サスペンスまで、作品の味わいはさまざまです。「映画のあとに原作も読みたい」と思える一本を、秋の夜長のお供に見つけてください。

Prime Videoなら、見放題対象を気軽に試しつつ、気になる旧作は一本ずつレンタルできます。まずは見放題作品から選ぶと、今夜観る映画を決めやすいでしょう。

※配信状況は2026年9月30日時点の確認情報です。見放題・レンタル・購入の区分や対象作品は変更される場合があります。視聴前にPrime Videoの作品ページで最新状況をご確認ください。

読書の秋に本屋大賞原作映画を選ぶ3つの楽しみ

映画と原作で「語り方」の違いを味わえる

小説は言葉で人物の内面に入り、映画は表情、音、光、空間で感情を伝えます。原作に忠実かどうかだけで比べるより、「なぜ映画ではこの場面を省いたのか」「この沈黙は原作のどの文章に当たるのか」と考えるほうが、二つの表現を豊かに楽しめます。

特に『舟を編む』の言葉、『羊と鋼の森』の音、『かがみの孤城』の空間は、文字と映像の得意分野の違いがよく見える作品です。先に観ても、先に読んでも、二度目の発見が残ります。

書店員が届けたい物語だから、入口を選びやすい

本屋大賞は、全国の書店員が「いちばん売りたい本」を投票で選ぶ賞です。大賞作だけでなく、上位に入ったノミネート作にも、読者へ手渡したくなる強い物語があります。

今回の12本は、2004年の第1回大賞『博士の愛した数式』から、2022年に4位・5位へ入った『正欲』『六人の嘘つきな大学生』までを幅広く選びました。受賞年をたどれば、その時代に多くの書店員が何を読者へ届けたいと考えたのかも見えてきます。

気分に合わせて「観てから読む」「読んでから観る」を選べる

結末を知らずに緊張感を味わいたいミステリーは、映画から入るのがおすすめです。一方、複数人物の内面が複雑に絡む作品は、原作を先に読むと映画の省略や再構成を追いやすくなります。

・映画からがおすすめ:『告白』『六人の嘘つきな大学生』『罪の声』

・原作を先に読むのもおすすめ:『正欲』『ある男』『52ヘルツのクジラたち』

・どちらからでも入りやすい:『舟を編む』『かがみの孤城』『そして、バトンは渡された』

正解はありません。上映時間と、その晩に受け止められる物語の重さで選んでみてください。

Amazonプライムで観られる本屋大賞原作映画おすすめ12選

1. 舟を編む|言葉を届ける仕事の尊さを静かに映す

・公開年:2013年
・監督:石井裕也
・主な出演:松田龍平、宮崎あおい、オダギリジョー、黒木華
・原作:三浦しをん『舟を編む』
・本屋大賞:2012年大賞
・Prime Video:レンタル・購入

出版社の営業部で持て余されていた馬締光也は、言葉への鋭い感覚を見込まれ、辞書編集部へ異動します。彼が加わるのは、新しい国語辞典「大渡海」を完成させる長期計画。気の遠くなるような言葉集めと用例の検討を重ねながら、不器用な馬締は仕事仲間や下宿先の孫娘・香具矢との関係を育てていきます。

紙の辞書を作る話と聞くと地味に感じるかもしれません。実際、本作は大事件で観客を引っ張る映画ではない。それでもページをめくる指の音、編集部に積み上がる資料、言葉を選ぶ人々の横顔が、次第にスリリングに見えてきます。途方もない時間をかけて誰かの役に立つものを作る。その仕事の美しさを、松田龍平の控えめな身振りと、石井裕也監督の温かなユーモアが支えています。

原作では言葉をめぐる思考や人物の内面をより細かく追え、映画では編集部という場所の手触りと、人が同じ目標へ集まる喜びが際立ちます。読書の秋の入口として、これほど似合う映画はなかなかありません。

こんな人におすすめ

・本や言葉に関わる仕事が好きな人
・派手さより、じわじわ効く人間ドラマを観たい人
・長い仕事を続ける意味を見つめ直したい人

舟を編む

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2. かがみの孤城|居場所をなくした心に扉を開くファンタジー

・公開年:2022年
・監督:原恵一
・主な声の出演:當真あみ、北村匠海、吉柳咲良、宮﨑あおい
・原作:辻村深月『かがみの孤城』
・本屋大賞:2018年大賞
・Prime Video:見放題、レンタル・購入

学校へ行けなくなり、家に閉じこもる中学生のこころ。ある日、部屋の鏡が光り、その向こうに不思議な城が現れます。城へ招かれたのは、こころを含む7人の中学生。彼らは「願いをかなえる鍵」を探しながら、少しずつ互いの距離を縮めていきます。

謎解きの面白さを備えた物語ですが、中心にあるのは、外からは見えにくい痛みです。原恵一監督は城の幻想性を華やかに見せる一方、現実の部屋に差す光や、言葉を飲み込む瞬間を丁寧にすくいます。学校へ行けないことを単純な挫折として処理せず、「安心していられる場所はどこにあるのか」を観客にも問いかける姿勢が誠実です。

原作の長い時間を一本の映画へまとめているため、観終えたあとに小説を読むと、7人それぞれの輪郭がさらに濃くなります。映画で物語の全体像をつかみ、原作で一人ひとりにもう一度会う。そんな往復がよく似合います。

こんな人におすすめ

・10代の孤独を扱った物語を探している人
・怖すぎない謎とファンタジーを楽しみたい人
・親子で観たあと、ゆっくり話せる作品がほしい人

かがみの孤城

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3. そして、バトンは渡された|家族の形を料理と音楽でつなぐ

・公開年:2021年
・監督:前田哲
・主な出演:永野芽郁、田中圭、石原さとみ、市村正親
・原作:瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』
・本屋大賞:2019年大賞
・Prime Video:見放題、レンタル・購入

血のつながらない父・森宮さんと暮らす高校生の優子は、これまで何度も名字が変わってきました。けれど本人は、自分を不幸だとは考えていません。一方、幼いみぃたんを育てる自由奔放な梨花の物語が、異なる時間軸で進んでいきます。

家族の秘密をめぐる構成にはドラマチックな仕掛けがありますが、本作の魅力は毎日の食卓や、ピアノの練習といった小さな場面にあります。親から子へ渡されるものは、名字や血筋だけではない。朝ごはんを作ること、話を聞くこと、次の場所へ送り出すこと。その積み重ねが家族になるのだと、映画は明るさを失わずに伝えます。

泣ける映画として知られていますが、涙を急かすだけの作品ではありません。田中圭の少し頼りなくも愛情深い父親像と、永野芽郁の伸びやかな表情が、物語に日常の温度を与えています。重い作品が続いたときの一休みにも選びやすい一本です。

こんな人におすすめ

・温かい家族映画で泣きたい人
・親子関係を血縁以外の角度から見たい人
・秋の休日に家族と一緒に観たい人

ここまでの3本は、いずれも本屋大賞の大賞作です。追加料金なしで選ぶなら、まず『かがみの孤城』か『そして、バトンは渡された』をチェック。言葉そのものを味わう作品がよければ、レンタル対象でも『舟を編む』は読書の秋に選ぶ価値が高い一本です。

そして、バトンは渡された

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4. 羊と鋼の森|耳を澄ます時間そのものがドラマになる

・公開年:2018年
・監督:橋本光二郎
・主な出演:山﨑賢人、鈴木亮平、上白石萌音、上白石萌歌
・原作:宮下奈都『羊と鋼の森』
・本屋大賞:2016年大賞
・Prime Video:レンタル

北海道の高校で、一人の調律師がピアノを調整する音に心を奪われた外村直樹。卒業後に専門学校で学び、調律師として働き始めた彼は、先輩たちやピアノに向き合う姉妹との出会いを通じて、自分が目指す音を探していきます。

題名の「羊」はハンマーのフェルト、「鋼」は弦を指します。森のように複雑なピアノの内部へ耳を澄ませ、わずかな違いを整える仕事を描く本作は、音が主役の映画です。説明的なせりふや大きな音楽で感動を押し出さず、鍵盤をたたいたあとの響き、調律師が考える間、北海道の風景をゆったりと重ねていきます。

職人の成長物語であると同時に、才能との付き合い方を描いた作品でもあります。自分には突出した力がないと感じる人ほど、外村が「正しい音」ではなく「その人が求める音」へ近づこうとする姿に励まされるはず。静かな夜、スマートフォンを置いて音に集中したい映画です。

こんな人におすすめ

・音楽映画を落ち着いて味わいたい人
・職人や専門職の成長物語が好きな人
・努力を続けることに少し疲れている人

羊と鋼の森

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5. 博士の愛した数式|80分の記憶を超えて残るもの

・公開年:2006年
・監督:小泉堯史
・主な出演:寺尾聰、深津絵里、齋藤隆成、吉岡秀隆
・原作:小川洋子『博士の愛した数式』
・本屋大賞:2004年大賞
・Prime Video:レンタル・購入

交通事故の後遺症により、新しい記憶が80分しか続かない元数学者の博士。彼のもとへ派遣された家政婦の杏子と、その10歳の息子は、博士が数字に込める意味に触れながら、穏やかな関係を築いていきます。

難しい数学の映画ではありません。誕生日や靴のサイズといった身近な数字から、博士は相手との会話の糸口を見つけます。毎朝の出会いが、博士にとっては初対面になる。それでも、共に過ごした時間が無意味になるわけではない。寺尾聰の静かな演技と、深津絵里の生活感のある佇まいが、記憶と愛情は同じものなのかという問いをやわらかく残します。

小川洋子の原作は、簡潔な文章の中に数学の美と三人の親密さを閉じ込めた作品です。映画を観て気になった数式を原作で読み返すと、数字が冷たい記号ではなく、人と人をつなぐ言葉に見えてきます。第1回本屋大賞に選ばれた物語を、賞の原点として味わうのもいいでしょう。

こんな人におすすめ

・静かで優しい余韻を求める人
・数学に苦手意識はあるが、美しい物語が好きな人
・記憶と家族をめぐる作品にひかれる人

博士の愛した数式

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6. 52ヘルツのクジラたち|届かない声を受け止める再生の物語

・公開年:2024年
・監督:成島出
・主な出演:杉咲花、志尊淳、宮沢氷魚、倍賞美津子
・原作:町田そのこ『52ヘルツのクジラたち』
・本屋大賞:2021年大賞
・Prime Video:見放題、レンタル

家族から傷つけられ、東京での生活から逃げるように海辺の町へ移った三島貴瑚。そこで彼女は、母親に虐待され、声を発しない少年と出会います。届かない声を抱えた二人の関係を軸に、貴瑚自身の過去が少しずつ明かされていきます。

題名は、ほかのクジラには聞き取れないとされる高い周波数で鳴くクジラに由来します。助けを求めているのに、声が誰にも届かない。その孤独を映画は正面から扱うため、虐待や支配的な関係の描写は軽くありません。気持ちが弱っている夜より、少し余裕のある日に観るほうがよい作品です。

一方で、ただ苦しさを積み上げるだけではなく、誰かの声を聞こうとする行為に希望を置いています。杉咲花は、傷ついた人が別の誰かを救おうとするときの強さと危うさを同時に表現。原作を読むと人物同士のつながりがさらに整理され、映画で胸に残った選択の背景を深くたどれます。

こんな人におすすめ

・孤独と再生を描く重厚な人間ドラマを観たい人
・杉咲花の繊細な演技を味わいたい人
・鑑賞後に原作で人物の内面を補いたい人

中盤の3本は、音、記憶、声という「目に見えないもの」を映画がどう表現するかに注目したい作品です。『52ヘルツのクジラたち』は見放題対象。『羊と鋼の森』『博士の愛した数式』はレンタル対象ですが、静かな秋の夜に一本をじっくり観る選択に向いています。

52ヘルツのクジラたち

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7. 君の膵臓をたべたい|限られた時間を青春の光で描く

・公開年:2017年
・監督:月川翔
・主な出演:浜辺美波、北村匠海、小栗旬、北川景子
・原作:住野よる『君の膵臓をたべたい』
・本屋大賞:2016年2位
・Prime Video:見放題、レンタル・購入

他人との関わりを避け、本ばかり読んでいる高校生の「僕」は、病院で「共病文庫」と書かれた一冊を拾います。それは、明るく人気者のクラスメイト・山内桜良が、自分の病気について記した秘密の日記でした。偶然をきっかけに、正反対の二人は残された時間を共に過ごします。

題名の強さから奇抜な作品を想像するかもしれませんが、中身は人と関わることで世界の見え方が変わっていく青春映画です。浜辺美波の快活さと北村匠海の内向的な佇まいが対照をつくり、何気ない会話に「今」を生きる切実さを宿します。

映画版は大人になった「僕」の時間を加え、過去を振り返る物語として再構成しています。原作とは入口も余韻も少し異なるため、両方に触れる面白さが大きい作品です。泣けるかどうかだけでなく、他者を知ろうとすることが自分をどう変えるのかに注目してみてください。

こんな人におすすめ

・切ない青春映画を観たい人
・映画と原作の構成の違いを比べたい人
・人との距離を縮める勇気がほしい人

君の膵臓をたべたい

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8. ある男|名前の奥にいる人間を見つめるミステリー

・公開年:2022年
・監督:石川慶
・主な出演:妻夫木聡、安藤サクラ、窪田正孝
・原作:平野啓一郎『ある男』
・本屋大賞:2019年5位
・Prime Video:見放題

離婚後に故郷へ戻った里枝は、谷口大祐と名乗る男性と再婚し、穏やかな家庭を築きます。しかし大祐が事故で亡くなり、法要に現れた兄が遺影を見て「これは弟ではない」と告げます。里枝から相談を受けた弁護士の城戸は、夫として生きた「ある男」の正体を追い始めます。

人探しのミステリーとして先が気になる一方、映画が問うのは、戸籍や名前と、その人らしさはどこまで重なるのかということです。過去を変えた人間を、偽物と呼べば話は終わる。しかし、その名で誰かを愛し、働き、生きた時間まで偽物だったのでしょうか。

妻夫木聡が演じる城戸もまた、自らの出自や社会の視線と無縁ではありません。調査する側の足元が静かに揺らぐことで、謎が観客自身へ返ってきます。石川慶監督の端正な画面と、安藤サクラ、窪田正孝の抑制された演技が、答えを一つに閉じない余韻を生みます。

こんな人におすすめ

・謎解きと人間ドラマを同時に味わいたい人
・アイデンティティをめぐる物語が好きな人
・観終わったあと誰かと語り合いたい人

ある男

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9. 正欲|「普通」という言葉を簡単に使えなくなる

・公開年:2023年
・監督:岸善幸
・主な出演:稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗、佐藤寛太
・原作:朝井リョウ『正欲』
・本屋大賞:2022年4位
・Prime Video:見放題、レンタル・購入

不登校の息子への接し方に悩む検事、実家で代わり映えのしない日々を送る販売員、学園祭の企画に関わる大学生。接点がないように見える複数の人生が、それぞれの抱える事情を通して近づいていきます。

多様性を肯定する言葉が広がった社会で、その輪にも入れない人はどう生きるのか。本作はその難題に安易な答えを出しません。登場人物の言葉には痛さがあり、観客が共感しにくい選択もあります。それでも、「理解できないから存在しないことにする」という態度の危うさを、映画は粘り強く見つめます。

群像劇を二時間強へまとめた映画は、稲垣吾郎の硬質さと新垣結衣の沈黙を中心に据え、視線や距離で人物の孤立を示します。原作はそれぞれの思考をさらに深く掘り下げるため、映画だけでは飲み込みにくかった場面ほど、読書へ進むきっかけになるはずです。軽い気分転換には向きませんが、読書会のように考えを交わしたくなる作品です。

こんな人におすすめ

・価値観を揺さぶる社会派作品を観たい人
・単純な善悪に分けられない群像劇が好きな人
・映画のあとに原作をじっくり読みたい人

正欲

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10. 六人の嘘つきな大学生|就活の会議室が疑心暗鬼の密室になる

・公開年:2024年
・監督:佐藤祐市
・主な出演:浜辺美波、赤楚衛二、佐野勇斗、山下美月
・原作:浅倉秋成『六人の嘘つきな大学生』
・本屋大賞:2022年5位
・Prime Video:見放題、レンタル・購入

人気企業の最終選考へ残った6人の就活生は、全員で内定を得るために協力して準備を進めます。ところが選考直前、課題は「6人のうち内定者にふさわしい一人を決める」ものへ変更。さらに会議室で、各人の秘密を告発する封筒が見つかります。

限られた空間、制限時間、互いに評価し合う参加者。密室ミステリーの装置と就職活動の息苦しさが、よくかみ合っています。好印象を作り込むほど、その裏側を暴く言葉が効いてくる。誰かを短時間で判断する採用選考の不自然さも、娯楽作のテンポを損なわず浮かび上がります。

真相を知らないまま観るのがいちばんです。予告や詳しい感想を読み込まず、6人の発言と表情から自分なりの人物像を組み立ててみてください。鑑賞後に原作へ進めば、映画で整理された要素と、文章だから成立する仕掛けの違いも楽しめます。

こんな人におすすめ

・テンポのよいミステリーを選びたい人
・就職活動や面接を経験した人
・伏線を拾いながら二度観たい人

『ある男』『正欲』『六人の嘘つきな大学生』は、いずれも現在見放題で選べます。気軽なミステリーなら『六人の嘘つきな大学生』、静かに考えたい夜は『ある男』、価値観を大きく揺さぶられたいなら『正欲』が向いています。

六人の嘘つきな大学生

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11. 罪の声|未解決事件の向こうにいる家族を描く

・公開年:2020年
・監督:土井裕泰
・主な出演:小栗旬、星野源、松重豊、市川実日子
・原作:塩田武士『罪の声』
・本屋大賞:2017年3位
・Prime Video:見放題、レンタル・購入

新聞記者の阿久津英士は、昭和の未解決事件を追う企画に加わります。同じころ、京都でテーラーを営む曽根俊也は父の遺品から古いカセットテープを発見。そこに録音されていた幼い声が、事件で使われた脅迫テープの声と同じだと気づきます。

実在の事件を想起させる設定から始まりますが、犯人当ての刺激だけを狙った映画ではありません。焦点となるのは、大人たちの計画に子どもの声が使われたあと、その人生に何が残ったのか。事件を追う記者と、自分の家族史を調べる男の二つの視点が交わり、過去の「ニュース」が現在を生きる人間の顔へ変わっていきます。

小栗旬と星野源は、正義を振りかざすヒーローではなく、知ってしまった事実をどう受け止めるか迷う普通の人として物語を支えます。上映時間は142分と長めですが、調査の積み重ねが途切れず、新聞記事や録音をたどる感覚は厚い小説を読む時間に近い。まとまった夜に腰を据えて観たい一本です。

こんな人におすすめ

・実録風の社会派ミステリーが好きな人
・事件そのものより、残された人々を描く映画を観たい人
・二時間を超える重厚な物語に浸りたい人

罪の声

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12. 告白|冷たい映像美で復讐と責任を突きつける

・公開年:2010年
・監督:中島哲也
・主な出演:松たか子、岡田将生、木村佳乃
・原作:湊かなえ『告白』
・本屋大賞:2009年大賞
・Prime Video:見放題、レンタル・購入

中学校の終業式。担任の森口悠子は、教壇から自分の娘が亡くなった出来事について静かに話し始めます。その死は事故ではなく、犯人はこの教室にいる。衝撃的な言葉を境に、同じ事件が複数の人物の視点から語り直されていきます。

松たか子の抑えた声で始まる長い場面だけでも、空気が一変する瞬間を味わえます。中島哲也監督はスローモーション、音楽、色を大胆に使い、登場人物の感情からあえて距離を取ります。美しく整えられた画面と、そこで起きる行為の冷たさ。そのずれが観客を落ち着かなくさせ、正義や罰を簡単に語らせません。

原作は章ごとに語り手が変わる構成で、読み手が知っている事実を何度も組み替えていきます。映画はその多声的な構造を映像と編集へ置き換えたもの。どちらが上というより、同じ毒が別の器に注がれたような違いがあります。後味はかなり重いため、爽やかな一本を求める夜には不向きですが、忘れにくい映画体験を望むなら外せません。

こんな人におすすめ

・心理サスペンスを集中して観たい人
・映像と音楽の強い演出が好きな人
・原作と映画の語り方を比較したい人

告白

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気分別に選ぶなら、この5本から

12本もあると決めきれない人のために、その夜の気分に合わせた入口を整理します。

優しく背中を押されたい夜

『舟を編む』がおすすめです。すぐに結果が出なくても、誰かへ届く仕事を続ける人々の姿が、焦りを静めてくれます。家族と一緒なら『そして、バトンは渡された』も選びやすいでしょう。

静かな映像と音に浸りたい夜

『羊と鋼の森』を。物語を追うより、ピアノの響きや北海道の空気に耳を澄ませる時間を楽しめます。派手な展開に疲れた日にちょうどいい一本です。

先の読めない物語に没頭したい夜

軽快さを求めるなら『六人の嘘つきな大学生』、重厚さを求めるなら『罪の声』。どちらも情報を入れすぎずに観るほど面白く、鑑賞後に原作で構成を確かめる楽しみがあります。

自分の価値観を揺さぶられたい夜

『ある男』か『正欲』を選んでください。前者は「名前と人生」、後者は「普通と理解」を問い直します。答えを出してすっきりする映画ではありませんが、原作へ進みたくなる余白が大きい作品です。

青春の痛みと希望に触れたい夜

『かがみの孤城』なら孤独から居場所へ、『君の膵臓をたべたい』なら閉じた心から他者との時間へ向かいます。10代だけでなく、あの頃の自分を思い出す大人にも響く二本です。

映画と原作、どちらを先に楽しむ?

映画を先に観る利点は、人物関係と舞台を短時間でつかめることです。長編小説に苦手意識がある人でも、映画で好きになった登場人物を追う感覚ならページを開きやすくなります。『舟を編む』や『かがみの孤城』は、鑑賞後に「映画で描かれなかった時間を知りたい」という気持ちが自然に生まれるでしょう。

原作を先に読む利点は、登場人物の内面を知ったうえで、俳優の表情や監督の解釈を味わえること。『正欲』や『ある男』のように思考の層が厚い作品では、映画が何を残し、どこを映像へ置き換えたかがよく見えます。

ミステリーは悩ましいところですが、初回の驚きを映像で味わいたいなら映画から。文章の仕掛けを自分の速度で解きたいなら原作からがおすすめです。『六人の嘘つきな大学生』『告白』『罪の声』は、順番によって違う緊張感が生まれます。

大切なのは「原作どおり」を採点することではありません。小説と映画は、使える時間も表現方法も異なる別の作品です。変更点を欠点と決めつけず、なぜ変えたのかを考えると、一本の物語を二度以上楽しめます。

Prime Videoで観る前に確認したいこと

本記事では、Prime Videoの会員特典で追加料金なく観られる作品を「見放題」、作品ごとに料金が発生するものを「レンタル・購入」と表記しています。Prime Video内の追加チャンネルで提供される場合は、チャンネル登録が別途必要になることがあります。

レンタル作品には視聴開始までの期限と、再生後の視聴期限があります。映画を観る日が決まってから手続きすると安心です。また、見放題作品も配信終了日が設定されることがあるため、ウォッチリストへ入れたまま長く置かず、作品ページの表示を確認してください。

現在の見放題作品から始めるなら、次の9本が候補です。

・かがみの孤城
・そして、バトンは渡された
・52ヘルツのクジラたち
・君の膵臓をたべたい
・ある男
・正欲
・六人の嘘つきな大学生
・罪の声
・告白

レンタル・購入で観るなら、『舟を編む』『羊と鋼の森』『博士の愛した数式』があります。追加料金はかかりますが、いずれも読書の秋というテーマとの相性がよく、映画と原作を行き来する楽しさがはっきりした作品です。

※配信状況、料金、視聴条件は変更される場合があります。最新情報は必ずPrime Videoでご確認ください。

まとめ|10月は映画を入口に、本の扉も開いてみよう

読書の秋だからといって、最初から何百ページもの小説を読まなくてもかまいません。映画の二時間は、物語と出会うための立派な入口です。

迷ったら、読書の秋らしさが最も濃い『舟を編む』、見放題から選びやすい『かがみの孤城』、短い時間で強い印象を残す『告白』のいずれかから始めてみてください。優しい作品がいい日は『そして、バトンは渡された』、謎に没頭したい日は『六人の嘘つきな大学生』が向いています。

映画を観終えたあと、気になった台詞の続きを探すように原作を開く。同じ場面が文章ではどう見えるのかを確かめる。そんな往復ができれば、10月の夜は少し長く、少し豊かになります。

まずはPrime Videoの見放題対象から、今の気分に合う一本を選んでみてください。気に入った物語が見つかったら、次は書店や図書館で原作を手に取る。映画と読書をつなぐ秋を、今日から始めましょう。

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